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戦記文学・平家物語をエンジョイ

 第十二回目の「楽しい学び」は軍記文学の傑作『平家物語』を題材としました。

 もともとは薩摩琵琶の伴奏で朗々と吟じられたものだけに、ただ普通に音読しただけでもその名文の何たるかが偲ばれますね。冒頭の有名な出だしからしてこの世の無常を切々と訴え掛けてはきますが、仏教的無常観だけがこの物語世界の特徴ではありません。痛快であり、時に異様に明るく豪放闊達でさえあります。

 死に際しての潔さや、死の美学(若武者の化粧や老武人の毛染め)、血なまぐさい合戦の最中にあっての文芸(和歌)への拘り等、平和な時代にも見られない「雅(みやび)な文化の香り」が充満して、滅び行くものへの深く哀切な情感をいやがうえにも際立たせる。完璧なカタルシスの効果が齎される。見事であります。

 死や滅び、そして豪華に輝き一気呵成に凋落する偉大なる喪失を噛み締めつつ、しみじみと深く味わう醍醐味。日本文化の一つの頂点を表しているのでした。



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